ドイツルネサンスの画家である、ルーカス・クラーナハ(1472年ー1553年)の展示を国立国際美術館に観に行った。
クラーナハはわたしはこの展示を観るまでは知らなかったけど、ルターの肖像画を描いた人らしい。
展示ではクラーナハは多くの場面で、同じくドイツの画家でアルブレヒト・デューラー(1471年―1528年)と対比されながら進んでいく。デューラーの方が有名で、自画像とかメランコリアⅠとかなんとなく見たことがある人が多いんじゃないか、と思う。
デューラーは、メランコリアⅠや、展示中での対比を見てもすごい真面目な絵を描く奴なんやけど、クラーナハの方はちょっとハレンチだったりひょうきんな人に見える。
実際にはえらい真面目なひとだったかもしれないけど、絵を見たときにちょっと笑える感じとか、聖書の登場人物でも人間っぽく描いてて、艶めかしかったり、下世話にかっこよく描かれている。威厳を持たさずに女をきりっとりりしく描いたるのなんか好きだ。この人は女を描くのがすきだったと思う。
クラーナハは、画家だけでなく事業家で印刷所などもやっていたらしい。絵自体もたくさん描いたし、工房の弟子にもたくさん描かせたようだ。今でいうところの芸術家よりも宣伝業を営んでいたという方が近いんじゃないかと思うところもある。ルターの肖像画をたくさん描き、世に出すことで、ルターを社会に知らせたり、また絵画というとことから宗教改革の一端を担ったとまで言われている。
ブログのタイトルにした「おもしろおじさん」というのは、具体的にはクラーナハのメランコリーという作品を観たときの印象だった。メランコリーって「憂鬱」って意味なのに、子どもがわーわー遊んでる絵って、どういうこと!?って思った。メランコリーというとデュ―ラーのメランコリアの統一された重たい思慮深さの印象があるから余計にこのぶち込み方には、とにかく一度吹き出してしまう。
よく見ていくと、手前に子供なんか関係ないみたいにナイフ持った女の人がぼーっとしてたり、空想の世界が漂ってたり、子どもたちがいるのは殺風景な牢屋みたいな部屋だったり、いろいろ変で、普通絵画的には隣り合わないはずのものが隣り合ってるのは妙に現実っぽいというのは思わなくもないけど・・・それぞれの子どもの姿を見て笑ってしまう。
根本的に、明るいものを描きたいんやろなぁ、と思った。
こういう明るさと聖的なものを描いているのに世俗っぽい感じがこの人の絵の魅力だと思った。「おもしろおじさん」というのはちょっと書きすぎたかもしれないけど、なんか過去の画家や作品について書く雰囲気を新しくできないかなーと思ってたり、「おもしろおじさん」だと思うから見れる感じもあるような気がして、実験中です。