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2017年3月10日金曜日

「日本国憲法をバカ丁寧に読む会」の6回目が終わって。

日本国憲法をバカ丁寧に読む会」の6回目から一晩明けて。昨晩は随分興奮してしまったけど収まってきました。5回目の前回は、「面白かったー!」と興奮したけど、今回は恐怖です。

読んだのは「財政」と「地方自治」。「地方自治」は現行憲法がわかりにくい。条項も4つのみと「国会」や「内閣」と比べると格段に少なく、「地方自治」に関しておそらく模索段階であったろうことがうかがい知れます。例えば、現行憲法に地方自治体という言葉はなく、あるのは「地方公共団体」というたどたどしい雰囲気の言葉。

現状の地方自治の状況を思うとそれに上手く対処しているように思える自民党改正案がよいのではないか、と最初思えました。例えば「地方自治の本旨」に関して、現行憲法では記載がないのに対し改正案では、記載がある。そこには、「地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。」とあり、「住民の参画」計画を打ち出す行政が多い印象がある中、その現状をうまく捉えてるんではないかと思える。また、別の条項では「地方自治体は、相互に協力しなければならない。」と地方自治体間での連携を促す記述があり、例えば大阪市と大阪府の連携がないゆえに煩雑な手続きを踏むことになった、という話などを思い出すと、これもありなんではないかと。

でも、よく読んでいくと、現行憲法では地方公共団体は「行政を執行する権能を有し」ているのに対して、改正案では、地方自治は「住民に身近な」行政に限定され、「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。」とある。
「住民に身近」とは何か、法律で定めることになるだろうけど、少なくとも分担が生じるわけで、地方の「役割」ではない、地方が関われない分野が出てくる。それでは、普通には住民に身近とは言い難い、軍事や外交に地方は口が出せなくなるのではないか。例えば、今の沖縄のような状況になったときに米軍基地を何処に置くのかは国レベルの問題だからと、地方自治の立場から口が出せなるなる可能性が非常に大きい。どの分野だったとしても、その地方でどんな切迫した状況が発生しても、これは「国」の問題である、と引き取られてしまう。それは困る。

そういうことに気づかないで読み進めてることが怖い。誰かとただ読むということをしなければ、一人で読んでいたら、と恐ろしい。改正案が怖い、ということではなくて、自分が良いのではないかと思った憲法案をしっかり読んだときに、全然望んてないことが潜んでいたということがほんとに怖かった。改正されて、そんなことが起こるならば、自治体間の連携は、とりあえず問題ではないよ、とすら思う。

そして、少し書いたけれど現行憲法には「地方自治体」という言葉はない。(地方自治体という言葉は、地方自治法に出てくるようだけど、こちらは読んでいない。)改正案の方では、「地方自治体」が使われている。「地方公共団体」という少し聞きなれない言葉。だけれど、団体構成員からなる一つのまとまりであるという雰囲気。住民である自分も構成員であるような気分になる。一方、「地方自治体」という言葉は、自分から切り離された、おかみのような、現状の市役所や府庁などのまとまりを思わせる。

現行憲法に「地方自治の本旨」の詳しい記載がない、と書いたけれど、多分「地方自治の本旨」とはその言葉のまま明確なものなのだろう。地方を自ら治めるという本来の趣旨。自らやるわけだから、こう記載することがギリギリなラインなのかもしれない。


今回は読む分量も少なそうだし早く終わったらビール飲めるかも、なんて思っていたら、「地方自治」、あなどれませんでした。久々に、ほんまに危ないところに行ってたなと。

次回、4月13日は最終回です。読んだ後どうなってるんだろうか。