もう1週間近く前のことだけど、「さとしとあすかのなんかピアノとかやる」が終わった。これから、書こうと思ってることがその会の感想なのか?ほんとにちゃんと聞いてたの!?って突っ込まれるんじゃないかなんて思いながら、でも、まあ多分その会が引き起こしたことだと思えるから仕方ないよねって思って、こんなタイトルで書いてます。
ある絵(特に美術館とか西洋の絵画)を目の前にして絵のことを語るって野暮じゃないか、とどこか思ってたところがあったけれど、語れることがあるならどんどん語ったらいいじゃないか、思った。あんだけ、音楽の話を聞いときながら、結局絵の話かいな!って自分で突っ込みたくなります(あ、突っ込んでるのは自分だ!)。
いや、まあ絵のこと語ってきた、随分話してきた。むしろ話したらいいと思ってたのに、また、話すのが新しくなる感じがあった。
(話したらいいと思ってるのに、野暮だと思ってたり。なかなか大変。)
その日の明日香の話と演奏を聞いてて(それにその日に借りた井上直幸さんという演奏家のDVDを見て)、演奏だけではなく言葉も使って作曲家の伝えようとしたことを「紹介」しているのがよくて、両方あってよりわかるという感じもそうだし、明日香が楽しそうで、その発見を聞いてるのが面白かった。
絵画も、ここをこう見れば見えてくるものとか、時代にそって見ていけば見えてくるものとかがあって、そういうの見えてくるの楽しいし、もっと見たいなぁと自分でも思っている。
あと、西洋絵画。最近思ってたけど、好きなんだなぁと思った(この広い絵画の世界のなかで、自分がそこ好きだってあんまり自覚がなかった(笑))。絵という大きな枠組みで、そういう広さでもって話せることもあるけど、西洋絵画(美術)好きなんだと思った。何が好きなんだっていうと、まだあんまりよくわかんない。一部には、ずっとこれやってきちゃったみたいなところもあって、一番初めに習った絵は油絵だった。どういうわけか大学も美術をカナダで勉強してしまったから、art historyはもちろん西洋美術史だった。Art history の中心はもちろんヨーロッパ(と20世紀以降はアメリカも)だから、ど真ん中で学んだわけではないけど、日本人に比べてカナダ人はヨーロッパと多くを共有してるんだろうなと思う。そんな中で学んだ美術史は、多分自分にとっては穴だらけだったんじゃないか。彼らが当たり前にしてることは自分は知らないから、ほんとはいろいろ理解してなかったんじゃないかって、今更思ったりする。今やっと絵から見えてくることがあったりして、面白い、面白いって思ってる。
明日香が、時間的にも空間的にも遠く離れた人や土地のことを見せてくれているのにとても刺激されてしまった。
歴史家の網野善彦氏は「異形の王権」という著書で絵巻物を読み解いて語るけれど、これもすごいおもしろかった。絵画から、もう実際には見ることのできない中世の世界を、現代によみがえらせてくれる。(でも、網野さんは絵は専門ではないので、本当は残された文字から中世を見せてくれている。歴史家だからもろに歴史の認識を変えるということをやってしまう。ほんとにすごい。)
過去というものは割と確固としたものとして話すことができるところが面白いのかもしれない、それは今に近づくほど難しくなって、現代くらいが難しいけどなんとか可能で、今となるとほとんど話せない。
自分でも、描きたいと思ってるけど、そこは息が詰まるところの「今」か「現代」なのかもしれない。
なんだか、いろいろ考えて、考えてゆける。
何か今の時点で書いときたかった。
こんなふうに、全く絵について話していないのに、絵のことを考えてしまうような出来事が時々ある。別に絵のことに限らなくて、同じ分野だと思ってないのに、すごく自分のやっていることが影響されてしまうようなこと。幸運な出会いだと思う。こんなふうになるとは思ってなかった。面白かった。