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2016年11月13日日曜日

短い感想。「ルネサンス 経験の条件」岡崎乾二郎著。



ルネサンスというもののイメージを初めて具体的にしてくれつつある本。ただ、この本の主眼はそのルネサンスというものがある程度わかり、ルネサンスに関して行われている議論もある程度理解し、そのうえで読んでいくことが前提とされるような岡崎氏のブランカッチ礼拝堂壁画の新解釈にあるようだけど、その理解にまではたどりつけなかったようには思う。

ただ、その論を展開していくうえでの筆者のルネサンスや西洋美術史に対する強烈な理解というのが節々に出ている。ルネサンス期、そしておそらくそ後においても西洋では美しさというものを、理論化したり、数値で表そうとしていた。そういうことを、細かに説明している。そういう理論化や数値化は自分としてはつまらない、とずっと思ってきたように思う。数値で表そうとしたり、ましてや数値から美を作り出そうとするということに疑いがあった、という感じかもしれない。自分の好きなもののなかにはたくさん西洋の絵画、芸術品があるにもかかわらず。そして、そういう芸術品というものは長年、この絵は美しく、そして何故美しく見えるのか、ということを考えて来た人たちの先に生まれて来たのか、ということにちょっと戸惑っている。

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