「日本国憲法をバカ丁寧に読む会」の最終回でした。
第9章改正、第10章最高法規、第11章補足の3章。
第9章改正。最初読んだ印象は「面白い」。「前文」の勢いからいくとこの憲法を変えるなんてことが念頭にあるということが不思議。でも、この憲法の中には改正という章立てがある。この憲法が想定した改正は、自民党が案を出したようなものではなく、現行憲法の理想とか、精神をよりよく達成しようとする際に時代に合わせて改正ということではないか、という話もあった。確かに、そんな改正もありだ。変わるということが憲法に関していつも悪くなるというイメージがどこかであった気がする。正直言って、現行憲法は読みにくい部分も多々あって、ある意味現代語訳的な改正だけでも十分に何かだと思う。
現行憲法はよく知られているけど非常に変更しにくい。有権者の過半数の賛成が必要になる。ので、積極的に改正に賛成する(国民投票でわざわざ賛成票を入れる)人が半分以上にならないと変更されない。そもそも賛成か反対か、どのような改正かの内容は置いといても有権者半数以上が国民投票にいくような憲法への関心が必要になる。その上実際は反対なら投票に行く必要すらない。
一方、自民党改正案での「改正」は国民投票において「有効投票の過半数の賛成」でいいので、反対の人は積極的に反対投票にいかないといけないし、憲法への関心を高めるよりも、低く抑えて賛成票の率を増やす方が改憲派にとって有利になる。
現行憲法はよく知られているけど非常に変更しにくい。有権者の過半数の賛成が必要になる。ので、積極的に改正に賛成する(国民投票でわざわざ賛成票を入れる)人が半分以上にならないと変更されない。そもそも賛成か反対か、どのような改正かの内容は置いといても有権者半数以上が国民投票にいくような憲法への関心が必要になる。その上実際は反対なら投票に行く必要すらない。
一方、自民党改正案での「改正」は国民投票において「有効投票の過半数の賛成」でいいので、反対の人は積極的に反対投票にいかないといけないし、憲法への関心を高めるよりも、低く抑えて賛成票の率を増やす方が改憲派にとって有利になる。
第10章最高法規。ここの第97条はとても前文を思い出させる。この憲法の精神が再び述べられている。人類というものへのフォーカスがある。人類の原理、人類が考えてきたことへの尊敬。過去と未来という大きな視野。それに国民の人権を守ること、というよりも、これは国民が、自分たちの権利を守るために自分たちで「確定」した憲法で、今思ってみてば、国民から国に対して向けられた憲法で、その精神が貫かれている。前文に「日本国民は(略)政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」ともある。第97条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とあり、この中に国民は含まれていない。憲法を確定した国民と、政府(天皇は国政は行えないが)とか公のものとの立場の違いが鮮明になっている。第2章戦争の放棄、のところでも「放棄」は主体的な印象があったけど、自民党改正案の第2章安全保障は、自分が守られる存在になった感じがあるというところにも符合する。
第11章補足。以前の憲法から現行憲法への移行時に関して何点か書かれている。ずっと現行憲法の上で生きてきたわたしにとって、これ以前の世界が想像の難しい世界として出現する感じがあった。公布から施行の「半年で、世界が変わる」という話もあった。その変化の雰囲気がこの章に刻まれている。
自民党改正案に関して。改正案は形式としては、現行憲法と似たような感じだし、多くに同じ条項があるけれど、通底する精神は全く違う。大きく変ったのが、前文、第2章戦争放棄、第9章緊急事態。ざっくり言うと国民が確定した憲法というかんじも、国政は国民の信託によるものだという感じが消えて、内閣の力が非常に強くなるような条文が入ってきている。今回読んだ、第9章緊急事態は、緊急事態が宣言されると内閣が法律と同一の効果をもつ政令を制定できたり、財政の権限も拡大されるようだし、地方自治体に指示を出すし、ほとんど独裁じゃないか。国民は、法の下の平等、身体の拘束及び苦役からの自由、思想及び良心の自由、表現の自由、は最大限にしか尊重されないようになってしまう。緊急事態として想定されるのは、外部からの武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱、地震などによる大規模な自然災害などいろいろあるし、それはのちほど法律で定めることになるんやけど、だからといってそんな権利も守られないような状況それらの緊急事態を乗り越えようとしていいことがあるんだろうか。この章を読んで、これが有効に働きそうな例は、「シン・ゴジラ」的状況しか思い浮かばなかった。
また、全体の感想も書けたらなと思ってますが、終えて一旦の感想です。
とにかく、読んでよかった。