桐の箪笥を譲り受けた。

2015年7月20日月曜日

持ち物

もらった箪笥。
三組に分けることのできる箪笥の上の二段。
一番下は別の場所に置くことにした。

おおばあちゃん(曽祖母)の箪笥をおばあちゃんから譲り受けた。
桐箪笥で、外側の黒いのがなんとかという木を張ってあると聞いたが、木の名前を忘れてしまった。
おおばあちゃんが結婚するときに当時60円で買ったらしい。「60円もした」というおばあちゃんに「わからへん」と言うと、当時アサヒビールに務めていたおおばあちゃんの月給が20円だったと教えてくれた。確か84年前のもの。

おおばあちゃんは小学生のときに亡くなって、近くに住んでいたのにあまり会いに行った覚えがない。だから、顔は覚えているけどおおばあちゃんとの思い出は希薄だ。

玄関を入ると真ん前にズドンと2階への階段があって、2階はどうやら大叔父というのだろうか、おばあちゃんの弟が住んでいてちょっと入って行きにくい雰囲気があり、家を壊す直前まで見た覚えがない。階段の左側の板の廊下を抜ける途中にあるトイレの横の洗面台がタイル張りで、今思い出すとそれがとても好きだと思う。廊下を抜けると台所と居間がある。

部屋の中のことを思い出そうとしても、さっぱりこの箪笥がどこにあったのか思い出せない。

庭には、金柑の木があって、脱水が手回しの洗濯機。

おおばあちゃんが亡くなった後、その箪笥はおばあちゃんが引き取って、一度手を入れたそうだ。おばあちゃんとともに各地をてんてんとして、今日おばあちゃんが引っ越しするのを期に宇治にやってきた。

いくらおおばあちゃんのものでも、ほとんどの物は捨てただろうにこの箪笥はまだここにあるのだからすごい。


この何年かでカラーボックスや小さな箪笥を全て捨てて、服も持ち物も減らした。そんな折に、おばあちゃんから箪笥要らないか、と声をかけてもらい最初は戸惑ったが、ありがたく貰うことにした。なんで貰うのか、積極的な理由は言いにくいけれど、おばあちゃんの意志だから、そしてそれを受け取りたいと思ったからと思うと今のところ落ち着く。

リュックを買ってくれた友人が、「物だけど物じゃない」と何度か口にするのを聞いたけれど、そういう感じかなのもしれないと思う。例えば誰か知らない人に同じような桐箪笥をタダであげますと言われたとしても貰わないだろう。

今朝、やってきたばかりだけれど家屋内天変地異というほどの存在感で、これがある生活がどんなものになるんやろ、とまだわからない。

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抽斗の精密さがすごい。