決戦の朝にバブアーは出かけていた。

2015年2月12日木曜日

持ち物 未分類

修理したいお気に入りのものでも、
修理後もお気に入りであり続けられるかわからない。
修理の緊張。

朝ごはんを食べ終え、頼まれていたバブアーコートのポケットの修理をしようと思った。
コート掛けを見ると、「ない」。思わず声に出して言っていた。

持ち主である隆が着ていったのだった。やりたい気分が高まっていたので、なんとも落ち着かない。

バブアーの修理はもう2箇所目だ。前回もポケット。そして今回もポケット。
昨日「何色の糸で治そう?」と聞いた。「赤」そして「でも、見えないから何色でもいい」。

そうかじゃあ「そのときミシンに付いている色で」と言った。しばらくして、なんでもいいと思うとやる気がなくなってくるというか、やっつけ仕事になってくるのを感じた。修理の仕方も適当になってくるような感じがあった。見えないから適当でいいなんて言われてないのに。

「何色にしよう」と自分で考えなおして、体を立て直す。その時していた作業が一段落したらやろうと思った。

去年直したもう片っ方のポケットを引っ張りだして見た。うまいことやったなと思う。見えないかもしれないけどわざわざ見てしまう。でも、これ次の修理に耐えれるんやろか。もっとええようにできへんやろか。

立て直した体にエンジンをかけた感じがした。修理に挑む、勝負する感じ。

夜遅くなってしまったのでまた勝負は明日。
そう思って迎えた朝。バブアーがいない。しまった。