池田から、今。

2017年5月6日土曜日

書くこと

2日前、3日前と友人を訪ねて池田まで行ってきた。池田は多分10年ぶりくらいに改めて訪れたんやけど、思ったよりいいところだった。駅から歩いてすぐのところに河川敷があって、ゴールデンウイーク中なのにさほど人がいない。右岸になる対岸の川西市側は、何故だかタープみたいなん張ったりの家族連れがそれなりに沢山いたのに、池田側は、ほぼ平常運転で、きっといつもいるんだろうという感じの人たちと、昼間っからビールを飲んでいる私たちと、あと少し、という感じだった。川の途中に浅く渡れるとこもあったりして、行こうと思えばすぐに対岸にでられるんだけど、川はこうして隔ててくれていて騒がしい音は聞こえてくるけど、あまり同じところにいる気にならない。

タープと言えば、うちの実家はタープを持っている家で、テントも持っている家だった。キャンプとか、外でバーベキューとかそこそこやって、結局自分はキャンプも外でバーベキューも自分から進んでやるものにはならなかった。テントで寝るのはどちらかと言うと苦手で、基本怖い。雨の心配も、湿度も苦手。まあ、そこはかとなく怖い。だから、テントとコテージどっちがいい、と聞かれたら迷わずコテージと言えるくらいにキャンプ経験を積んできた。

とか、そんな感じのことを話したり、なんとなくの波がありながらずっと話していて、お茶を飲んだり、晩御飯を食べたり、カラオケに行ったりして、さっちんの家に行った。そうやってシーンを追うこともできるけれどこの2日間はとてもつながっていて、2日目は五月山に行ったりもしてるし、どこで話したかとか、どんなこと話したとか、ある程度覚えてるんやけど、とても一つながりな感じだ。一つながりの時間がぼんっとある。

夜は、さっちんがおすすめだという演劇のDVDを見て、この時間だけは他の時間とは少し異質に残っている。今はアマヤドリという名前で活動してる当時はひょっとこ乱舞という劇団の2011年の作品で、「ロクな死にかた」という。シーンそれぞれが結構上手いから面白く見れる。内容は、直後にあまりバシッと言えるものではなかったけれど、さっちんと戯曲を読みながら読み解いていくのが面白かった。

2011年から、再演も何度かやっていて、その度に戯曲も書き換えているようだ。戯曲は劇団のホームページに上がっていて、戯曲の方は再演されたものをパラパラと見ていった。

話していて結構面白くて、それ書いてよ、と言われ、無理、と答え、でもなんか書く気がしてきたので書いてみよう。※以下、ネタバレを含む予定です。

「ロクな死にかた」と言ったって、別にわたしたちに自分の死に方を教えてくれる話ではない。毬井(まりい)くんというある男が、序盤で死んでしまって、しかもなんで死んだのかよくわからない。自殺だって説もあれば、交通事故だって説もあって、ありえないと思うけど、シャツとセーターとフリースだったかを3枚いっぺんに脱ごうとしたときに死んだって話もあって、よくわからない。

分かっていくのは死んでいく毬井くんの方ではなくて、死後の彼の前の彼女やその彼女の家族、死んだときに付き合っていた彼女や、友人なんかの姿。彼らに毬井くんの死が訪れて、それから。だから、死にかたって言ったら死ぬ本人の問題のようだけど、本人が決めるものじゃなくて、死を看取るものが死に方を形作っている、そのように死に方を描いているのではないかと思う。

そう思うと、毬井くんはほんとうにロクな死に方をしている。死を通して、生前の毬井の行動の影響もあって、毬井くんの前の彼女のチサトは仕事をやめてしまったり、そんなチサトの家族もそれなりにしんどそうで、いろいろあるにも関わらず最終的には暗い感じはない。チサトは今付き合っている彼氏との子を妊娠して、友人の武田は長年付き合っていた彼女と結婚するだろうし、チサトの姉のハルカはチサトの件で相談していた生方(うぶかた)さんと付き合っていくだろうと思う。別にハッピーエンドというわけでもないけれど、確か死から1年という月日のなかで毬井君の死ある意味では影響を及ぼし続けていて、でも直接的なこととしては忘れられ始めてもいる。

チサトは終盤に差し掛かるまで、毬井くんはまだ生きているとお葬式に行ったにも関わらず主張する。主な原因は、毬井のブログを武田が毬井くんとして更新してたからだけれど、チサトは終盤、そのブログへのメールという形で毬井くんに妊娠の報告と共にさよならを伝えた。そうして、毬井くんは肉体が死んだだけじゃなくて、本当に誰の「実感」としても死んだんだと思う。

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随分、さっちんと話していたこととは違うことを書いた。話したことからまだ考え続けてて、今はこんな感じ。緻密に作り上げられている感じがあるので、なかなか細部まで書けない。スパッと書けたとまで思えないんやけど、とりあえずブログに残しておこう。

こうやって作品を見て話すということはとても楽しかった。そのあと寝たんやけど、結局頭働かしながら寝てしまって、寝ながら演劇のことを考え続けてしまった。

2日間楽しくて、次の日(昨日)からダウンした。今日、さっきまで寝てばっかだった。2日間疲れたというのもあったと思うけど、どちらかというとこの1か月分くらいの疲れがでるきっかけになったんじゃないかと思う。腰から、背中から、首から、バキバキになって、頭痛まであった。よくこんなふうな疲れ方をする。わたしの特技は疲れを溜めることだ、と思った。疲れはもう少し小出しの方がいい。