東京美術の旅7 「祖父江慎+コズフィッシュ:ブックデザイ」

2016年2月29日月曜日

美術館・展示

今年の2月1-4日と東京の美術館を周りに行った記録。

東京美術の旅1 「村上隆の五百羅漢図展」
東京美術の旅2 「村上隆のスーパーフラット・コレクション」
=====
やっぱり疲れていて、
図書館で本を読みながらうとうとしていた。

しばらくすると回復してきて、
コーヒーを飲んで、結局
「祖父江慎+コズフィッシュ:ブックデザイ」を見に。


ブックデザインってこんなに精密なものか。

様々な印刷。
蛍光塗料。
型押し。
・・・

写真など色味の調整。
青の鮮やかさ。
黒の色調。
・・・

本文の段組。
1行に入る文字数の指定。
左ページは0.5°傾けて配置。
フォント「、」だけは、フォントを変える。縮小をかけて表示する。
・・・

ものすごい指示の入った校正紙(っていうんかな)が壁に大判印刷されてた。

できあがった本から、
サンプルみたいなものまで所狭し。

所狭し、っていうのがこの展示の大きな印象で、
1冊1冊丁寧に丁寧に見ていくというよりは、
この人の中にあるものすごい情報量が垂れ流されたというような室内だった。

わたしには掬いきれないような、
小さく見えるようなひとつひとつのすべてが
きっとこの人には鮮明に見えるんだろう。

離れてざっと見ていてはわからないものに近づいてみて
なにかその小さな一つに触った気がして、
その精密さ、緻密さに驚き、
また離れると情報が膨大で混沌としてみえる。

仕事をするときにはきっとこんな、というかもっと膨大な頭の経験に、
ものすごいスキャニングをかけながら進めていくんだろう。


おわりの部屋だけは少し様相が違っていて、
割りと最近できた『』、
制作途中の『吾輩ハ猫デアル』の新装版の制作過程の展示だった。

あの膨大なデータを持ちながら、
一つ一つに向かい合っている少しだけ静かな空間だった。

『吾輩ハ猫デアル』の企画書は、
ほとんど本としては理解不能で無理そうな案とかが描かれていて笑ってしまう。
そして、最後の方に確か大きく「無理」と書かれていてもう1回笑ってしまう。
構想と物理的制限がぶつかって、
今はどんなとこにいるんだろう。


面白かった。
そして、この印刷という技術は、
最初に見たシルクスクリーンや型押しなんかも使う
村上隆の作品を思い出させた。
あの絵の中にも、この精密が少し重なる。

(おわり)