過去の復元

2011年11月26日土曜日

縄文復元画家の安芸早穂子さんという人がいる。「気がついたら縄文復元画家になってました。」と数年前に恐らく吹田市立博物館の講演でそう言っていたのを聞いた。気がついたら縄文復元画家だってってどういうことやねんとそのことが印象に残っていた。

安芸さんの縄文を描いた絵も週刊朝日百科や「縄文の子どもたち」という絵本などでちょくちょく見てきた。学校の社会の時間の配布プリントでも何度か絵を見た。でも、特にそのことを意識したことはなかった。

過去を絵にすることの凄さを考えたのは最近のことだ。去年から今年の春頃までにかけて歴史家の網野善彦の本を結構読んだ。ある日、鴨川に行ったときに中世の鴨川はどんなだったんだろうと口にした。そして絵に描いてみればと言われた。
中世のことを読んだから、この河原であったことが想像できる。非人のこと、無縁のこと、殺生を行うこと。その絵をみればそのことがわかるような絵がかければすごいだろうなと思った。今のこの河原にはないけれど、過去にそこに起こったことを想像させてしまうような絵があれば、鴨川や河原町近辺の認識も変わるのではないかと思った。

そういえば、安芸さんの絵は私の縄文のイメージを大きく構成している。今になってはっとさせられた。網野善彦も「河原にできた中世の町」という絵本を作っていたではないか!気がついたら縄文復元画家になっていたということは、もちろん安芸さんを縄文復元画家にした人がいるわけだった。その人の意図通りかどうかはわからないけど、その絵で縄文のイメージが作られている。緑が多い場所に住み、赤系の派手な色の服を来てよく踊る人たち。