「抽象世界」と「コレクション特集展示 ジャコメッティと Ⅰ」(国立国際美術館)の感想。

2019年6月7日金曜日

美術館・展示

国立国際美術館で開催中の「抽象世界」と「コレクション特集展示 ジャコメッティと Ⅰ」を観てきた。

抽象世界

抽象芸術は絵画も彫刻もそうだけど、まだよくわからいし言葉にしにくい。せいぜい今思うのは抽象・具象というのは二分概念ではなくて、抽象絵画のなかにも具象的要素はあるし、具象絵画のなかにも抽象的要素はあるだろうということ。でも抽象絵画と呼ばれるものは抽象の方面へのふりきりが大きい。

そんななかでもなんとか言葉にできるくらいに楽しめたのはジョン・アムレーダー作の「滝」(2018)でこれはタイトルも具象的で、描かれているものも見た目に滝っぽい。色や形は、実在するであろうどんな滝からも遠のいている。だから、どの滝だとかいう必要がない。でも「滝だ」と思えるくらいには具象性があって、色も形もその中で遊ばれている。具象性の強さに自分はほっとしてしまう。

「抽象」、ちょっと考えてみよう。

 ジャコメッティと Ⅰ

展示室奥で流されていた映像がジャコメッティは「彫刻家の手と目を持って画家をやる。画家の手と目を持って彫刻家をやる」というようなことを言っていた。「彫刻家の手と目を持って画家をやる」というのは絵を見れば割と納得する。指を動かし、立体感をつくることを想像しながら描いているように見える。特に顔のスケッチなんかはそうで、立体にするときにどうこの眼球を表わそうかと苦心する様子が絵画の中に現れているように思う。立体にするということを前提に平面に描くということが行われているようだ。そんなふうな描くもあるのかと思った。

アルベルト・ジャコメッティ 「男」(1956)

「画家の手と目を持って彫刻家をやる」というのは作品を見てもよくわからなかった。自分があまり彫刻をやってこなかったからだろうか。とりあえず今のところ実感としては伴わない。

アルベルト・ジャコメッティ 「ヤナイハラⅠ」(1960−61)