1月23日開催。言語美ゼミ第3シリーズ第4回。

2021年1月23日土曜日

まるネコ堂 言語美ゼミ第3シリーズ

提出のレジュメはリンク先にて公開してます。

今回は、「第Ⅳ章 表現転移論 第Ⅰ部 近代表出史論(Ⅰ)」。

タイトルだけではなんのことかわかりにくい。この章は4部まであり、明治初期から戦後までの文学の作品を実際に見ていく。今日はその第1部。表出史というのは、文学作品の自己表出の中心の移り変わりを時間を追ってみていくということ。

吉本は、文学を読み、その作品のポイントを解説することがものすごくうまい。それだけでも面白い章だ。でもこんなに楽しめるようになったのは今回が初めてで、これをここまで楽しむにはある程度吉本独特の言い回しになれたり、そもそも文学作品自体を読める力が必要だったのかもしれない。それも、あればあるだけ楽しめるということに思うから、また1年後読めば、またこんなに楽しいのは初めてだと言っているのかもしれない。

レジュメには書かなかったけれど、以下の部分も面白かった。

(「舞姫」は)美妙の「武蔵野」や「蝴蝶」が口語体をつかうことで表出の意識の底辺をウルトラモダンなところに設定しながら、ほんとのリアリティに達していないことと対照的だといえる。

「舞姫」は本文のなかでかなり解説されていて評価が高い。美妙の作品とは対照的に、文語体を下敷きにしながら、そうとうなリアリティを達成している。試しに「武蔵野」冒頭を読んでみた。「表出の意識の底辺をウルトラモダン」はぼんやりとわかる程度だったが、「ほんとのリアリティに達していない」の方はこの通りだった。ありそうなことばっかり言って、全然身に染みてこない。本当に実際にその立場に立ってみればなにか重大なことを考えるだろうシチュエーションが描かれているのに、遠くに感じる文章だった。

こんなふうに、吉本のコメントを読んでからその文学作品を読むと、読む体感が言語化できる。そもそもそうとう吉本が正確に言語化してくれているから、つかみどころをわかって読める。


レジュメのほうは、書くのが難しかった。
いつも以上に、もっとうまく書けないかと思いながらの提出だった。
発表しても、読みにくいところがあったし、つかみがズレている部分があるのがよくわかった。自己表出や指示表出に関しての部分だった。質問をもらったり、意見をもらったりで前よりクリアになった気がする。メモを読み返したりしながらもうちょっと整理したい。
もっとわかりやすく書ければよかったとは思うけれど、ありがたい。書いてよかった。
次回もがんばろう。

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◯2021年1月-2月 大谷美緒絵画展示『1歳』

◯開催中(単発参加可能):吉本隆明『言語にとって美とはなにか』ゼミ第3シリーズ 全13回

◯第1回まるネコ堂芸術祭準備中

2019年6月1日発行雑誌「言語6」に寄稿文が掲載されました。