妖怪「みかんの皮切り女」 |
小さいとき好んで観たものは、
ロボットもしくは戦隊モノで、
わりと素性が明らかなやつ。
非常に後腐れない感じで、なにも覚えていない。
怪獣系はウルトラマンとか多少観たけど、
観たあとに若干ドロドロとした質感が心のなかに残った。
今でもある怪獣が徐々に殺されていくシーンが頭に残っていて、
嬉しいのかなんなのかわからないけど、
とにかく脅威は去ったというかんじ。
妖怪は嫌いで、
ゲゲゲの鬼太郎とか、
日本昔ばなしとか、
絵本でも怪しいやつが出てくるのは
ぞぞぞーとして嫌だった。
今は妖怪が一番気になる存在になった。
妖怪が気になり始めたのは、、
みかんの皮を切り続ける姿を妖怪だと言われたのがきっかけだった。
その時私は、
何の義務もないはずなのに何十個ものみかんの皮を切り、
マーマレードを作り続けていた。
最初は妖怪と言われるのが嫌で仕方なかったのに、
自分のみかん切りの異様さを振り返り、なんでそんなことをしたのやらと
ふと考えていると、
そりゃちょっと怪しいかもと笑えてきた。
妖怪の怪しさもこんなものなのかもしれないと思うと
妖怪に愛嬌がでてきて興味が出てきた。
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以前は、大人になって、勉強していったり、仕事をしていくと、、
どんどんドライな近代的な、科学的で、工業化された、論理的で、
西洋的なスマートな人間になっていくと思っていた。
なんというか、全部明確にぱきっと説明できることを
説明できるようにやり、生きるという感じか。
でも、実際に大人になってみると、
だんだんと説明出来ないようなものに興味を持ってきた。
ゼミで本を読んでも、説明できないものの力を受け入れる力の
方がついていくようで。
非常にわかりやすいものへの興味はそうでもなくなる。
もう少し正確に言うなら、
説明できないと思っていたものへのある種の説明が
つけられるようになってきたということなのかもしれない。
どちらにしても、小さいときに避けていた、
怪しくて、土臭く、ウェットで、一見論理的ででもない人に最近
なってきたような気がしていて、
その最初のステップとして、
妖怪に興味を持ったときのことを思い出した。