半纏を着ていたような気がする。 |
義理の父の一周忌があった。
義理の父になったのは亡くなってからで、
生きているときは彼氏のお父さんだった。
初めて面と向かって会ったときのことをよく覚えていて、
晩御飯を家に持っていった。
家はほとんど隣だけどそれまでは、
いない時に運び入れたかパートナーの隆が持って行っていた。
顔を見ると挨拶はしていたが、
話さないといけないかもしれないシチュエーションになるのが初めてで、
「美緒が持って行くといってある」と言われたが緊張していた。
家に入ると奥から歩いてきて、止まった。
「山根美緒といいます。」と言った、
「寒いですね」と返ってきた。
「寒いですね」と言った。
ご飯ここに置いていきます、と帰ってきた。
ほっとした。
首が斜めに傾いていて、丁寧に立っていた。
ご飯を作るのはちょっとめんどくさいと思うことも時々あったけど、
ご飯の感想が隆にメールで来ているのを知って楽しんでいた。
的確に褒められた里芋の煮物は何度が作った気がする。
私が知っている義理の父は亡くなる前の2-3年だけだった。
お葬式で初めて見た遺影はいつ撮った写真なのかが別人に見えた。
知らない人に見えて寂しく感じた。
仕事をしていた頃の話や、レーニンを読んでいた話や、
怒りっぽかった話を聞き、
彼のCDを大量に聞いていくうちにその写真の人も見れるようになってきた。
今も、私の後ろには彼の本が積まれていて、
死んでからどれだけ関わり続けていくんだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿