第0回、まるネコ堂芸術祭の出展者をまるネコ堂Facebookページで紹介してきました。
今日、全員が出揃いましたのでこちらでまとめて公開します。
プログラムの詳細については、芸術祭特設サイトをご覧ください。
1.山本明日香 (やまもとあすか)
山本明日香のおもしろいところは曲のレクチャーをしてから実際に弾くということに力を入れていること。作曲者や時代背景の簡単な紹介、またそれ以上に楽譜の読解。彼女のレクチャーを聞いていると全く楽譜の読めないわたしでも曲のイメージが湧く、そして、そのことで曲が細かく聞こえてくる。クラシックの歌声、作曲者のちょっとした気配り、音の豪華な装飾。どんなことが書かれているかは曲によりけり。演奏を聞くことで「耳が変わる」ことを体験する。2018年末より4回のレクチャー・コンサートを開催(5回目は新型コロナウイルスの影響で延期中)。当初は想定されなかったzoomでの発表、いろいろ検討しながら準備を進めているようです!(大谷美緒)
SAKURAGAWA PIANO ROOM:https://yamamotoasuka38.wixsite.com/pianoroom
2.小林直子(こばやしなおこ)
小林直子は比良山のふもとにログハウスをパートナーとともにセルフビルド。「すぺーす ひとのわ」と名付け暮らしている。彼女にとって「日々の暮らし」とはどんなものであろうか。そこにはなにがあるのだろうか。幼い頃のおばあちゃんとの記憶を折に触れて聞いた、また印象深く読んだ。一人で山の上に住む人の重厚さと手応えのようなもの。一見地味だけど、長年丁寧に繰り返すことで得られる手慣れた仕事のおもしろみ、わざ。今、まさに芽吹こうとしている彼女の表現だから、手がかりは少ない。けれど、「日々の暮らし」という言葉を聞いたとき、原風景としてそういうものがあるのでは、と思った。(大谷美緒)
3.大谷美緒 (おおたにみお)
大谷美緒のブログに、「名画からの一枚」というシリーズがあります。それは名画の解説なのだけれど、その時代背景だとか、その画家の作風とかそういうことよりも、その画面に表されたものは何なのか、を掘り下げていく視点で書かれていてとても面白い。
そこには、何かを成し遂げた画家の姿があったり、見ることを全く新しくしてしまうような体験があったり、一枚の絵というのはこんなにも豊かなのかと驚かされるのですが、考えてみればそれはとても当たり前のことで、何ヶ月とか何年とかを作品に費やす人達が"なんとなく綺麗なもの"みたいなふわっとしたものを残すはずがなくて、それでも絵描きではない私達がぱっと見でそれをキャッチできるかと言えばなかなかできることじゃないと思います。
今回は、大谷美緒が自身の作品を自ら解説するという、滅多にお目にかかれない企画です。絵画とは何なのか、絵画への見方を新たにしたい方は是非ご参加ください。(山本明日香)
4.浜田恒太朗(はまだこうたろう)
浜田恒太朗は『きの根っこ』という手書き通信を月一で発刊し7年を超えている。続けていることはほんとうにすごいのだと思うのだけど、本人はなんだかマンネリ化しているみたいな感じで首をひねることがある。何かに真剣に向かい合わなければといったような言葉を時々聞いたように思う。
東京在住の彼が昨年春頃からまるネコ堂に1−2ヶ月に1度来るようになった。寒くなるころには小説部が立ち上がり、部員となった。2万字の文章がなんとか書ければと半年前に言っていた彼が、4月の部会ではそれを突破してまだ完成しないと言う。シリーズにしたいテーマまで持って少しずつ書いているらしい。何かが形になってきている。
彼の文章は、正直言って笑ってしまうことが多い。自分ではつなげることができない回路で物事をつなげていく。真剣さの中にコミカルなワードが入り交じる。今回の発表では恩師との出会いから現在に至るまでののことを話すらしい。彼の切り口がどんなものであるのか楽しみにしている。(大谷美緒)
浜田恒太朗のnote: https://note.com/hamakonosisaku
5.奥田晃子(おくだてるこ)
奥田晃子は占星術師。星を占う人。いろいろな星座や天体の話を聞くのは面白く、それは自分が知っていた「星占い」と同じものとは思えない。
具体的な占いのノウハウは聞いたことがない。わたしが聞いてきたのは西洋占星学が土台にしている世界観だ。
いろいろある要素のなかで、ひとつだけ上げるとするなら、わたしは星を見る人が持つ時間感覚に影響を受けた。それは、普通の人の視野には入らないような、壮大な時間を思うことを可能にしている。12年先(木星の公転周期)、30年先(土星の公転周期)、もっと遠い未来のことすら考えることが、彼女にとっては日常のことだろうと思う。また、同時にもっと小さな時間についても独特の視座がある。占星学の持つ時間感覚は、自分の時間感覚をここちよく歪ませる。占われるまでもなくわたしは未来を想像し、また自ら関わり変えていけるような気分にすらなる。
タロットのことはほとんど知らない。彼女からもほとんど聞いたことがない。もしタロットの世界の風景を少しでものぞくことができたなら、占われることなく、自分の現在や未来にアプローチすることができるのかもしれない。それはなんだかワクワクすることだ。(大谷美緒)
6.小林健司(こばやしけんじ)
音読に力を入れるって何やってるの?って思うかもしれないけれど、彼のやっていることはめちゃくちゃ細かい。
筋肉を微細に使う。例えば、猫背気味になるだけで声は変わる。感情を込めるとかそういうことはほとんど言わない。彼が自分で意識してやっていることは、いつもかなり、体の話だった。それは「こんな声を出したい」というイメージを持たなくていいという話ではない。「感情を込める」という大雑把な説明ではなく、実際の体をの各部をたくみにつかって「テキストの声」を再現しようとすることをやっている。
どうやって「テキストの声」を出せばいいのか、彼は筋肉レベルで相当詳しく説明できるだろう。だからといって、みんなができるというわけではない。思ったとおりに筋肉を動かすなんてなかなかできない。そんな細かいこと誰もやらない。本を声に出して読むということに関して、そういうレベルでやっている。
ラジオということで、気軽にながら聞きもいいと思いますが、是非短い時間でもその細かさに耳を傾けて欲しいと思います。(大谷 美緒)
YouTube音読チャンネル「FUNto READ!」:https://www.youtube.com/channel/UCHF1NpxH3CPRfAs4MPd27zg/
7.木下有貴(きのしたゆうき)
木下有貴は毎朝、職場に行く前にカフェで1時間ほど文章を書いている。何年も。
それはもう指先の筋肉はタイピングに特化してムキムキだろうけど、文章を書くそっちの筋肉の方も相当ムキムキだと彼の文章を読んでいて思う。ボディビル的な、というよりは、どちらかというとすっきりと、無駄がない印象の文章筋。
書かないと書けるようにならない、くらいのことは以前から思っていたけど、「筋トレをするように」ちゃんと真面目に鍛えれば書けるようになる、「小説」ですら書けることがあるんだろうと思うようになった。「文章筋トレ」という催しに集う人たちを見ているとそう思った。それが全てで無いにしても手助けになっている。
彼の作品はいくつか読んだ。面白かった。すべて短編。特に後半ぐいぐい引っ張られ、もっともっと、と読み進めたくなる。書いてあることは現代的だ。「なんだかやる気が無い感じ」とか、「なんとなく決め手がないかんじ」、そういうちょっとグダグダな感じが切れ味よく表現されている。これ以上書くとネタバレになりそうになっきた。今回は芸術祭に向けて新作を書いているということで楽しみにしていますが、これまでの作品も別のところで発表予定らしいです。機会があればそちらも是非。(大谷美緒)
木下有貴のnote:https://note.com/writing_stock
文章筋トレ:https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_26.html
8.大谷隆(おおたにたかし)
大谷隆は編集者だ。
芸術祭では実行委員の一人だ。一度彼を「原理的なアーティスティックディレクター」と呼んだことがある。緊急事態宣言が発令され、延期の議論が起こったときの彼の問は、「この芸術祭をどんな感じにしたいのか」だった。
できるのか/できないのかの対立ばかり見てしまいがちなときに、「そもそもこれって何だったっけ?」とも考えれるのは、編集者という物事を土台から組み上げる仕事をしてきたからではないかと思う。「雑誌を編集するとして、最終的にどんな雑誌ができるかを知っているのは編集者だけだ。ライターも、デザイナーも、誰も全体像は知らない。」というのは驚くべき言葉だった。
この芸術祭の根本のイメージがわかってしまえば、今可能である方法で積極的に開催することができる。彼の問をあらたな起点にし、芸術祭はこの第0回を迎えることになった。(大谷美緒)
まるネコ堂ブログ:https://marunekodoblog.blogspot.com/
今日、全員が出揃いましたのでこちらでまとめて公開します。
プログラムの詳細については、芸術祭特設サイトをご覧ください。
1.山本明日香 (やまもとあすか)
5月2日 9:30 楽譜が音楽になるまで
山本明日香のおもしろいところは曲のレクチャーをしてから実際に弾くということに力を入れていること。作曲者や時代背景の簡単な紹介、またそれ以上に楽譜の読解。彼女のレクチャーを聞いていると全く楽譜の読めないわたしでも曲のイメージが湧く、そして、そのことで曲が細かく聞こえてくる。クラシックの歌声、作曲者のちょっとした気配り、音の豪華な装飾。どんなことが書かれているかは曲によりけり。演奏を聞くことで「耳が変わる」ことを体験する。2018年末より4回のレクチャー・コンサートを開催(5回目は新型コロナウイルスの影響で延期中)。当初は想定されなかったzoomでの発表、いろいろ検討しながら準備を進めているようです!(大谷美緒)
SAKURAGAWA PIANO ROOM:https://yamamotoasuka38.wixsite.com/pianoroom
2.小林直子(こばやしなおこ)
5月2日 10:40 日々の暮らしにあるもの
小林直子は比良山のふもとにログハウスをパートナーとともにセルフビルド。「すぺーす ひとのわ」と名付け暮らしている。彼女にとって「日々の暮らし」とはどんなものであろうか。そこにはなにがあるのだろうか。幼い頃のおばあちゃんとの記憶を折に触れて聞いた、また印象深く読んだ。一人で山の上に住む人の重厚さと手応えのようなもの。一見地味だけど、長年丁寧に繰り返すことで得られる手慣れた仕事のおもしろみ、わざ。今、まさに芽吹こうとしている彼女の表現だから、手がかりは少ない。けれど、「日々の暮らし」という言葉を聞いたとき、原風景としてそういうものがあるのでは、と思った。(大谷美緒)
3.大谷美緒 (おおたにみお)
5月2日 13:00 絵画の土台から。
大谷美緒のブログに、「名画からの一枚」というシリーズがあります。それは名画の解説なのだけれど、その時代背景だとか、その画家の作風とかそういうことよりも、その画面に表されたものは何なのか、を掘り下げていく視点で書かれていてとても面白い。
そこには、何かを成し遂げた画家の姿があったり、見ることを全く新しくしてしまうような体験があったり、一枚の絵というのはこんなにも豊かなのかと驚かされるのですが、考えてみればそれはとても当たり前のことで、何ヶ月とか何年とかを作品に費やす人達が"なんとなく綺麗なもの"みたいなふわっとしたものを残すはずがなくて、それでも絵描きではない私達がぱっと見でそれをキャッチできるかと言えばなかなかできることじゃないと思います。
今回は、大谷美緒が自身の作品を自ら解説するという、滅多にお目にかかれない企画です。絵画とは何なのか、絵画への見方を新たにしたい方は是非ご参加ください。(山本明日香)
4.浜田恒太朗(はまだこうたろう)
5月2日 14:10 読むことを描くということ
浜田恒太朗は『きの根っこ』という手書き通信を月一で発刊し7年を超えている。続けていることはほんとうにすごいのだと思うのだけど、本人はなんだかマンネリ化しているみたいな感じで首をひねることがある。何かに真剣に向かい合わなければといったような言葉を時々聞いたように思う。
東京在住の彼が昨年春頃からまるネコ堂に1−2ヶ月に1度来るようになった。寒くなるころには小説部が立ち上がり、部員となった。2万字の文章がなんとか書ければと半年前に言っていた彼が、4月の部会ではそれを突破してまだ完成しないと言う。シリーズにしたいテーマまで持って少しずつ書いているらしい。何かが形になってきている。
彼の文章は、正直言って笑ってしまうことが多い。自分ではつなげることができない回路で物事をつなげていく。真剣さの中にコミカルなワードが入り交じる。今回の発表では恩師との出会いから現在に至るまでののことを話すらしい。彼の切り口がどんなものであるのか楽しみにしている。(大谷美緒)
浜田恒太朗のnote: https://note.com/hamakonosisaku
5.奥田晃子(おくだてるこ)
5月3日 9:30 占わないタロット
奥田晃子は占星術師。星を占う人。いろいろな星座や天体の話を聞くのは面白く、それは自分が知っていた「星占い」と同じものとは思えない。
具体的な占いのノウハウは聞いたことがない。わたしが聞いてきたのは西洋占星学が土台にしている世界観だ。
いろいろある要素のなかで、ひとつだけ上げるとするなら、わたしは星を見る人が持つ時間感覚に影響を受けた。それは、普通の人の視野には入らないような、壮大な時間を思うことを可能にしている。12年先(木星の公転周期)、30年先(土星の公転周期)、もっと遠い未来のことすら考えることが、彼女にとっては日常のことだろうと思う。また、同時にもっと小さな時間についても独特の視座がある。占星学の持つ時間感覚は、自分の時間感覚をここちよく歪ませる。占われるまでもなくわたしは未来を想像し、また自ら関わり変えていけるような気分にすらなる。
タロットのことはほとんど知らない。彼女からもほとんど聞いたことがない。もしタロットの世界の風景を少しでものぞくことができたなら、占われることなく、自分の現在や未来にアプローチすることができるのかもしれない。それはなんだかワクワクすることだ。(大谷美緒)
kirari 星と旅する毎日:https://kiraristar.net/
6.小林健司(こばやしけんじ)
5月3日 10:40 FUN to READ ラジオライブ
音読に力を入れるって何やってるの?って思うかもしれないけれど、彼のやっていることはめちゃくちゃ細かい。
筋肉を微細に使う。例えば、猫背気味になるだけで声は変わる。感情を込めるとかそういうことはほとんど言わない。彼が自分で意識してやっていることは、いつもかなり、体の話だった。それは「こんな声を出したい」というイメージを持たなくていいという話ではない。「感情を込める」という大雑把な説明ではなく、実際の体をの各部をたくみにつかって「テキストの声」を再現しようとすることをやっている。
どうやって「テキストの声」を出せばいいのか、彼は筋肉レベルで相当詳しく説明できるだろう。だからといって、みんなができるというわけではない。思ったとおりに筋肉を動かすなんてなかなかできない。そんな細かいこと誰もやらない。本を声に出して読むということに関して、そういうレベルでやっている。
ラジオということで、気軽にながら聞きもいいと思いますが、是非短い時間でもその細かさに耳を傾けて欲しいと思います。(大谷 美緒)
YouTube音読チャンネル「FUNto READ!」:https://www.youtube.com/channel/UCHF1NpxH3CPRfAs4MPd27zg/
7.木下有貴(きのしたゆうき)
5月3日 13:00 「文章筋トレ」と「小説」
木下有貴は毎朝、職場に行く前にカフェで1時間ほど文章を書いている。何年も。
それはもう指先の筋肉はタイピングに特化してムキムキだろうけど、文章を書くそっちの筋肉の方も相当ムキムキだと彼の文章を読んでいて思う。ボディビル的な、というよりは、どちらかというとすっきりと、無駄がない印象の文章筋。
書かないと書けるようにならない、くらいのことは以前から思っていたけど、「筋トレをするように」ちゃんと真面目に鍛えれば書けるようになる、「小説」ですら書けることがあるんだろうと思うようになった。「文章筋トレ」という催しに集う人たちを見ているとそう思った。それが全てで無いにしても手助けになっている。
彼の作品はいくつか読んだ。面白かった。すべて短編。特に後半ぐいぐい引っ張られ、もっともっと、と読み進めたくなる。書いてあることは現代的だ。「なんだかやる気が無い感じ」とか、「なんとなく決め手がないかんじ」、そういうちょっとグダグダな感じが切れ味よく表現されている。これ以上書くとネタバレになりそうになっきた。今回は芸術祭に向けて新作を書いているということで楽しみにしていますが、これまでの作品も別のところで発表予定らしいです。機会があればそちらも是非。(大谷美緒)
木下有貴のnote:https://note.com/writing_stock
文章筋トレ:https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_26.html
8.大谷隆(おおたにたかし)
5月3日 14:10 芸術は不要不急なのだろうか
大谷隆は編集者だ。
芸術祭では実行委員の一人だ。一度彼を「原理的なアーティスティックディレクター」と呼んだことがある。緊急事態宣言が発令され、延期の議論が起こったときの彼の問は、「この芸術祭をどんな感じにしたいのか」だった。
できるのか/できないのかの対立ばかり見てしまいがちなときに、「そもそもこれって何だったっけ?」とも考えれるのは、編集者という物事を土台から組み上げる仕事をしてきたからではないかと思う。「雑誌を編集するとして、最終的にどんな雑誌ができるかを知っているのは編集者だけだ。ライターも、デザイナーも、誰も全体像は知らない。」というのは驚くべき言葉だった。
この芸術祭の根本のイメージがわかってしまえば、今可能である方法で積極的に開催することができる。彼の問をあらたな起点にし、芸術祭はこの第0回を迎えることになった。(大谷美緒)
まるネコ堂ブログ:https://marunekodoblog.blogspot.com/