【芸術祭へ向けて07】道具のていれと長い時間の見通し。

2021年3月19日金曜日

CARAPACE まるネコ堂芸術祭

キャラペイスの製作のために、革包丁を研いだ。
その前に、砥石の表面を平らにするためにそれ自体を研いだ。面直しというらしい。
包丁を研ぐ前には、ほぼ必ずこれをする。
見ただけではほとんどわからないけど、研ぐ度に砥石の面は歪んでいく。放おっておくと、面直し自体が非常にめんどくさい工程になってしまうし、そもそも包丁が上手くとげない。毎回、道具のていれとして作業に組み込んでおくと、短時間だし大したことがない。

キャラペイスの製作も絵を描くのもそれなりに道具を使う。

学生のころより、明らかにできるようになったのが道具のていれだと久々に油彩をはじめて思った。

ていれができるとはどういうことか。
ていれのやり方を知っている、というのは一部だと思う。
「知っていること」と「実際にやること」は直結しない。

実際にやる人は、その道具を使う生活の長い時間の見通しがあるのだと思う。

極端な話、1回しかつかわない道具をていれする必要はない。
でも、これから死ぬまで定期的に使うというものであれば、どうやったら使いやすいか、どうやったら長いあいだ使えるか、といったことをどうしても考える。

多分、ここで重要なのは「実際に使う」という現実的な出来事ではなく、「その道具を使っていく生活への見通しや想像力」があるかどうかということのように思う。
使いにくい道具をずっと使っている人だっている。ていれすることによって、自分がやりたいことをやりやすくしていく人もいる。別の道具に変える選択肢もある。

キャラペイスや絵を描くことに関して、これからの長い時間を想像できるようになってきたと思う。そういう想像ができるから、やれるようになったこともある気がする。
絵の制作自体は、上手くいっているのか自信がもてないけど、自分の道具の扱いを見るとちょっとした土台はできてきた気がして少しほっとする。

■5月1日2日開催  第1回まるネコ堂芸術祭
 詳細準備中。4月初旬に発表予定。


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 ■ 大谷美緒の催し&お知らせ ■
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◯【3−4月の展示】肖像画展ー小さい肖像画1点と絵本1冊。

◯6月17日~6月21日 言葉の表出、夏合宿2021

◯開催中(単発参加可能):吉本隆明『言語にとって美とはなにか』ゼミ第3シリーズ 全13回

◯第1回まるネコ堂芸術祭準備中

◯革と帆布のキャラペイスー大谷隆と共同運営

◯2019年6月1日発行雑誌「言語6」に寄稿文が掲載されました。