【芸術祭へ向けて05】思い通りには描けないものを描く。

2021年3月12日金曜日

まるネコ堂芸術祭 絵画

絵は、ある範囲に限定すると、かなり描きたいと思ったままに描ける。
目標の持って行き方を、自分のできる範囲内で設定して、それをその通り描けばいい。

それは例えば「A4用紙を3つ折りにして封筒にいれなさい」という指示をこなすというのと変わらない作業性を帯びる。

「できること」に重心を置いた描き方だ。


別なふうに重心で置くこともできる。
どうやって描いていいのかわからない部分を含みながら描くということだ。
自分の描きたいもののイメージに、それをどうやって実現したらわからないという部分が入っている場合だ。

これを描いていくのは結構体力がいる。少しでも自分のイメージに近づくために、うまくいくかわからないことを実際にやってみないといけない。それがいつイメージに命中するかわからない。しかも、やっていく途中でイメージ自体の変更も起こる。
「やればできることをやる」のは経済的だけど、これは少なくとも経済的ではない。

「どうやって描いていいのかわからない部分を含む」というのは自分なりのチャレンジを含むということだ。簡単に思い通りにはならない。
やっていく過程で、考えることは多く、自分のプランに自信がなくなったり、変更を検討をすることもある。


安っぽい話になりそうだけど、思い通りにはならないことをやるというのは、いいと思う。精神力がアップする。
2歳のあらたと関わっても、思い通りにはならないことばかりだ。ある種、精神力がアップしてきた。まだまだだ、とすら思わされる。

子どもはわかりやすく思い通りにならない度合いが高いが、実は大人だってそうだ。自分の思っていることを伝えるのはそんなに簡単ではない。相手の言い分で自分が変わらないといけなくなることだってたくさんある。

多少こじつけかもしれないが、人と関われるようになることと、自分の難しい課題に取り組むことは関係があるのかもしれない。
自分の中にある、「思い通りにはならないこと」に取り組み続けるのはそれなりに体力がいる。それくらいのことができれば、多少他の人に関わる力がついてくるのかもしれない。

逆に考えると、自分の中にやりたいことのイメージがなければ、どうやって他人に関わるんだろうか。やり取りの間に生まれる「軋轢」や「きしみ」は、即、解消されるべきものとなり、話をそらしたり、ライトな話題を選ぶということになるだろう。
自分がやりたいこと、伝えたいこと、考えたいことがあれば、「軋轢」や「きしみ」のある場所で、どうしていけばいいのか模索することができる。

■5月1日2日開催  第1回まるネコ堂芸術祭
 詳細準備中。4月初旬に発表予定。

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 ■ 大谷美緒の催し&お知らせ ■
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◯【3−4月の展示】肖像画展ー小さい肖像画1点と絵本1冊。

◯6月17日~6月21日 言葉の表出、夏合宿2021

◯開催中(単発参加可能):吉本隆明『言語にとって美とはなにか』ゼミ第3シリーズ 全13回

◯第1回まるネコ堂芸術祭準備中

◯革と帆布のキャラペイスー大谷隆と共同運営

◯2019年6月1日発行雑誌「言語6」に寄稿文が掲載されました。