大人っぽい子ども、あるいは、子どもっぽい大人/老人の絵。

2021年3月4日木曜日

絵画

今日は、唇を結んで思案した2歳くらいの男の子の絵を描こうとしていた。
困ったときに瞬間的にとる表情だ。
モデルは息子の新である。

そういう表情をすることは知っているが、たまに、しかも瞬間的にしかそうならないので、彼を見て描くことは実質不可能になる。

普段の顔のスケッチはさせてもらい、その後どうやって描いていくか考えた結果、自分でその表情を作って参考にすることにした。
自分で演技してその顔を鏡を見たり、筋肉の動きを確かめたりして2歳の男の子に融合させていった。

そうやって描いた絵を見ると大友克洋の子どもの絵に似ていた。
もちろん偶然だ。

大友克洋の子どもは独特だ「AKIRA」よりも「童夢」で一層そう思う。

子どもが普通には子どものしない表情をする。
ここで子どもは一般の「子ども」のかわいらしいイメージから逸脱する。
「大人っぽい」と一旦言ってみたが、単に「大人」になるのではない。それは、既成の子どもイメージからの逸脱と捉えた方がいいのかもしれない。

子どもが一瞬とる表情そのものを見て描くことはほぼできない、その中でもしかしたら、大友克洋も自分の顔を参考にしたのかもしれない。そのことが大人を宿らせている。

童夢では子どもっぽく描かれた老人も登場している。
これはどちらかというと、「子どもっぽい」という形容でほぼ間違えがないというくらい「子ども」になっている部分もある、でも完全にではないし、やっぱり異様な力を放っている。

子どもっぽい老人は自分で描いてないので確信度合いがさがるけど、顔の作りのフォーカスを大人にシフトさせながら同じように描いたのかもしれない。


あくまでも「かもしれない」ことだけど、今まで見たことがある絵がこう描かれたかもしれないと想像がついてくるのはとてもおもしろい。

そして、久々に「童夢」を見て思ったが絵の迫力がすごい。
自分で頑張って描いた絵は、ちぢこまっている。なんとかしたい。


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◯2019年6月1日発行雑誌「言語6」に寄稿文が掲載されました。